日々是総合政策 No.4

開発途上国 その1

 はじめまして、法政大学経済学部で開発経済学を教えている池上宗信です。開発経済学とは何でしょうか?経済学は、商品の売買などの『経済』行為や仕組みを『学』んで得られた知識です。開発経済学の『開発』は、開発途上国の開発であり、開発経済学は、開発途上国の経済に関する知識です。
 さて、開発途上国とは何でしょうか?世界の国々を経済の成長の度合いから2つに分けると、先進国と開発途上国に分けられます。先進国は、日本のような経済の成長した、経済が大人な国々です。開発途上国とは、経済がまだあまり成長していない、経済が子供な国々です。そのような国としてまず思い浮かぶ国はどの国ですか?
 経済が大人、子供と言いますが、大人と子供を分ける年齢、大きさは何でしょうか?経済の場合は、国民一人あたりの年間所得が100万円位が、大人と子供を分ける境目です。
 ちなみに日本の国民一人あたりの年間所得は400万円位で、日本経済は若い大人ではなく年配の大人です。これらの金額は、それぞれの国の物の価格の高さ、物価の違いを調整したあとの金額です。開発途上国の物価の安さに驚いたことはありますか?その開発途上国における物価の安さを調整しないと、開発途上国の経済の成長の度合い、大きさが過少に評価されてしまうので、物価の違いを調整した所得、金額を用います。
 開発途上国は、国民一人あたりの年間所得が100万円より小さい国々とひとくくりにしていますが、その中の国々の経済の成長度合いの差は大きいです。例えば、日本のお隣のフィリピンは国民一人あたりの年間所得が70万円位ですが、国民一人あたりの年間所得が最も小さい国は、中央アフリカ共和国で、その大きさは7千円位です。
 ここまで、国民一人あたりの年間所得だけに注目してきましたが、国民の健康、働く時間の長さなども、国民の幸せにとって重要そうです。次回は、それらと国民一人あたりの年間所得との関係をみてみましょう。

(執筆:池上宗信)