スポーツと地方創生~平成の日本サッカーの変化を振り返る(下)Jリーグ編
Jリーグは、平成5年5月15日に今もオリジナル10と称される10クラブでスタートした。
その多くは東京圏関西圏等の人口集積地に所在し、かつ大企業の支援を得ていた。それが1998年のJ2創設及び2014年のJ3創設を経て、今年のシーズンでは全国にJ1・18、J2・22、J3・15(u-23を除く)の計55クラブがある。多くは地方都市がホームタウンだ。将来のJリーグ入会を公認された「Jリーグ百年構想クラブ」のある県も含めると47都道府県中40県にJクラブがあり、残りの7県にも何らかの形でJリーグを目指すクラブがある。「野球と違ってサッカーは日本人には合わない」という人すらいた時代を知る私にとって、日本全国の地方都市にもプロのサッカーチームがあって、地域のサポーターの熱心な応援を受けながらエキサイティングなゲームを毎週展開しているなんて、まるでかつて憧れていたヨーロッパのようではないか。そんな風景が今日展開しているなんて、信じられない思いである。このJリーグクラブの全国への広がりは「スポーツ・ツーリズム」といった、新たな地方創生の芽も育てつつある。Jリーグは平成の間にここまで成長した。その成長には、Jリーグ創設時からの関係者のヨーロッパを見習った、徹底した地域密着の考え方があった。今やバスケットボールのBリーグのチームも全国にできた。プロ野球のチームもその名称に地域名を入れ、地域密着を模索する時代だとなった。なお、このJリーグの発展には地域の自治体が関わってきていることも認識しておかなくてはならない。Jクラブのホームスタジアムの多くは、2002年のW杯等を契機に各地の自治体が整備したものだ。その時に整備されたスタジアムが、現在各地のJリーグチームのホームスタジアムとして活用されている。Jクラブの設立に自治体が関わったところも多い。プロスポーツの地域経済に与える影響についてはヨーロッパや、アメフト等のプロスポーツが充実しているアメリカ同様、日本でももっともっと議論されてもいいのではないかと考える。
参考文献
「百年構想のある風景(傍士銑太、2014,ベースボールマガジン社)
「平成日本サッカー」秘史(小倉純二,2019、講談社α新書)
(執筆:平嶋彰英)