日々是総合政策No.171

ポストコロナと「新たな日常」:骨太方針2020

 日本を含め多くの国や地域の経済社会は、新型コロナウイルス感染症拡大により、甚大な影響を受け、これまでの常識では対応できない状況に陥っている、と広く認識されています。こうした認識は、去る7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針2020) にも示されています。
2007‐2008年の世界金融危機とリーマンショックを経た構造的な変化や変化後の経済状況を示す「ニューノーマル(new normal)」という言葉が、そのとき以上に、今回のコロナ禍を経験した後の世界状況を表すものになっています。「ニューノーマル」は、「新たな常態/常識」として理解されることが多いですが、骨太方針2020では「新たな日常」として言及されています。
 「新たな日常」を実現するために、骨太方針2020は「デジタルニューデール」(デジタル化への集中投資・実装とその環境整備)を掲げています。その中身は、次世代型行政サービスの強力な推進(行政サービスのデジタル化)、デジタルトランスフォーメーション(データとデジタル技術を活用したデジタルによる経済社会の変革)の推進、新しい働き方・暮らし方(テレワークや教育・医療のオンライン化等)、変化を加速するための制度・慣行の見直し(書面・押印・対面主義からの脱却等)です。
 「新たな日常」はポストコロナにおける国のあり方や人々の働き方や家庭・教育・医療環境を描いていますが、新型コロナウイルス感染症専門家会議がまとめた「新しい生活様式」 はウイズコロナにおける日常生活を営む上での基本的生活様式などの実践例を示しています。身体的距離の確保・マスクの着用・手洗いといった個人レベルの基本的感染対策や、「3密」(密集・密接・密閉)の回避などの基本的生活様式や、テレワーク・時差通勤・オンライン会議などの働き方の新しいスタイルが「新しい生活様式」として取り上げられています。
 ウイズコロナの「新しい生活様式」の経験を基に、ポストコロナの「新たな日常」の実現をめざすことは、プレコロナ(コロナ禍以前)の「これまでの生活様式/日常」とは異なる国民生活の諸活動を支える経済社会基盤を構築することを意味します。

(注)本文中のリンク先URLすべて、最終アクセス2020年8月28日。

(執筆:横山彰)