家事労働を考える(2)
今回は日本の家事労働の基本的な実態を紹介します。表1は家事関連時間の推移を10歳以上の男女別について示します。家事関連時間とは、家事(炊事・清掃など)、介護、看護、育児、買い物に要した一日当り時間を指します。時間は、一週間の曜日ごとの平均の和(月曜の平均+・・・+日曜の平均)を7で割った値です。家事関連を全く行わない人も含まれています(以下、すべて同じ算出法)。
表1 家事関連時間の推移(時間.分)
(出所)注4頁 表2-1より。
2016年には男性が44分に対し女性は3時間28分であり、男性は女性より2時間44分短いわけです。1996年の男女差3時間10分より縮まっていますが、依然として男女差は大きいのが現状です。
次に表2は、10歳以上の個人から、末子に6歳未満の子を持つ夫と妻を抽出したケースを示します。こちらの男女差もまだ大きいですね。しかも、表1に比べると妻の家事労働の長さが目立ち、この点が表1より男女差を大きくしています。ちなみに2016年に妻は、育児を3時間45分行っています(注11頁表4-3より)。
表2 6歳未満の子を持つ夫妻の家事関連時間(時間.分)
(出所)注11頁 表4-3より抽出。
また、表2と同じ夫妻の市場労働時間を見ると、2016年に夫は職場で7時間43分働き、妻は2時間10分働いています(注34頁4-1表と36頁4-2表より)。よって、市場労働と家事関連時間の合計である総労働時間は、夫が9時間6分、妻が9時間44分となります。夫婦ともに長時間労働です。この点を踏まえて、子育て夫婦の家事労働における男女差の縮小策を検討することが重要でしょう。
注
総務省統計局URL 『総務省 平成 28 年社会生活基本調査-生活時間に関する結果-』
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf
(執筆:馬場義久)