日本の税と可処分所得(3)
今回は、社会保険料と税の収入階層別負担率について2023年と2003年を比較します。2003年を選んだのは、同年4月から厚生年金保険と健康保険に総報酬制-月給だけでなく賞与にも同率の保険料を課す仕組み-が導入されたからです。
注1によれば、2003年の世帯主の年齢(全収入10階層の平均、以下同じ)が46.4歳、勤め先収入が492964円/月、世帯人員が3.49人で、2023年のそれらが、50.4歳、554801円/月、2.9人です。高齢化・少子化の進行を思わせます。なお、2024年の家計調査も公表済みですが、同年限りの所得税・住民税減税策の効果を含むため、最新のデータとして2023年を取りあげます。
図1 年間収入階層別負担率(%) 2003年

(出所)注1に基づき筆者算出。
図1の横軸は年間収入階層を示し、第1階層は、年間収入が全勤労者家計(二人以上の世帯)の最下位10%に属します。逆に、第10階層は最上位10%の家計です。縦軸は2003年の税(国の勤労所得税+個人住民税)、社会保険料、及び、税と社会保険料の合計を、それぞれ、勤め先収入で割った負担率(%)です。ぜひ、注2を参照し2023年の負担率を確認下さい。
両年における各負担率の基本的なパターンは、同一です。ともに、第9階層までは、保険料負担率(橙)が税負担率(青)を大きく上回り、また、保険料負担率は、全階層間でほぼ均等で、他方、税負担率は低率の累進的負担となっています。
基本的な差異は、2023年が2003年に比べ、各負担率が全階層にわたって増加している点です。
図2 年間収入階層別負担率の増加(03-23年 %)

(出所)注1に基づき筆者算出。
図2の縦軸は、各階層における、2023年の負担率-2003年の負担率=負担率の増加分です。
以下の点が印象的です。第一に、全階層にわたって、保険料負担率の増加分が税負担率のそれを上回っています。第二に、保険料負担率の増加分のトップは第1階層(2.61%)です。次いで、第9階層の2.55%です。第10階層は2.13%で第6位です。第三に、保険料と税を合わせた合計負担率の増加分(緑)では、第10階層の4.14%が最高で、第1階層の3.97%、第5階層の3.59%と続きます。
注
1.e-Stat URL
家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
最終アクセス 2025年5月13日。
2.本コラムNo.309
(執筆 馬場 義久)