日々是総合政策 No.5

人口減少のインパクト

 人口減少社会という言葉を耳にする機会も多くなりました。人口減少社会とは、「産まれる人数よりも死亡する人数が多くなり、総人口が減少する社会」と捉えることができます。総務省統計局によれば、総人口が継続して減少し始めたのは2008年からとのことです。したがって、日本は2008年から人口減少社会に突入したと言えるでしょう。私たちがこれから生きていく日本社会は、人口が継続的に減少していく社会です。それでは、人口減少は私たちの社会にどのような影響を与えるのでしょうか。本コラムでは「人口減少のインパクト」と題して、数回に分けてこの問題を探っていきます。
 国立社会保障・人口問題研究所という機関が、日本の将来人口について推計を行っています。将来の人口を予測するためには、出生数と死亡数についてある仮定をおいて計算することになります。それぞれ、低位・中位・高位という仮定をおき、合計9パターンの計算を行っていますが、ここでは出生数・死亡数いずれも中位の仮定をおいた推計結果を紹介します。
 人口推計の出発点となる2015年の日本の総人口は1億2,709万人でした。2053年には1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人となると推計されています。実に、50年間で3,901万人が減少することになります。この数字の大きさは、2015年時点での東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県に茨城県を加えた人口(3,905万人)とほぼ等しくなります。つまり、今後50年(正確には46年)で、1都4県に等しい人口が日本からいなくなるということです。
 あまりに数字が大きいため、やや呆然としてしまいますが、少なくともこのコラムを読んでくださっている若者の多くは、この急激な人口減少の体験者となるのです。2015年に15歳だった皆さんは、2065年には高齢者の入り口となる65歳です。まさに、当事者としてこの人口減少社会を乗り越えていかなければならないのです。

(執筆:中澤克佳)

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