日々是総合政策 No.18

スウェーデンは高負担国家か?

 スウェーデンは、平等主義、高福祉と高負担の国家として注目されることが多いですね。財務省のホームページによると、2015年のスウェーデンの国民負担率は56.9%であり、日本の42.6%を大きく上回っています。国民負担率は国民が稼いだ所得の総計(国民所得)に占める、税と社会保障負担の合計額の割合を示します。ここで社会保障負担とは、主に年金保険料や健康保険料など社会保険料を指します。
 結局、国民負担率は国民が得た所得のうち、何%政府に支払ったかを示します。つまり、スウェーデン国民は国民所得の半分以上を公的負担として政府に納めたわけです。確かにかなりの高負担です。
 この高負担をスウェーデンの人はなぜ受け入れているのか不思議に思い、スウェーデン滞在中に「あなたの国の公的負担は重いようですが、どう思いますか?」と尋ねたことがあります。その答えの多くは「スウェーデンの場合、子どもが二人いれば公的負担は生涯中にほぼ戻ってくる」というものでした。
 この回答で注目したいのは、次の三つの点です。第一に、租税や社会保険料という公的負担を、その使われ方と関連づけて捉えていることです。一般に公的負担は公共支出の財源ですから、この捉え方は当然と言えます。
 第二に、公的負担とその使われ方について、2015年という一時点に限定して考慮するのではなく、生涯という長いタイムスパンで見ていることです。年金・医療などは、現役期に公的負担を支払い、給付の多くを高齢期に得ますので、生涯期間の視点はとても重要です。
 第三に、スウェーデンでの個人が支払う公的負担は、その大部分が、他の人のためにではなく、自分自身や家族のために使われると思っていることです。
 このように思う公的負担は、個人が将来の疾病・老後や、子どもの教育に備える貯蓄に似ています。公的負担を自主的な貯蓄のように認識できれば、それは、もはや負担とは言えないでしょう。皆さんはどう思いますか?

(執筆:馬場義久)

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