日々是総合政策No.117

民主主義のソーシャルデザイン:米国大統領選挙2020

 2020年になりました。東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ開催されますが、オリンピックイヤーにおいて、世界中が注目する大イベントがもう一つあります。それが米国大統領選挙です。
 米国の大統領選挙は、共和党・民主党の両党で「大統領候補」と「副大統領候補」を指名する予備選から始まります。各党の「大統領候補」になった候補者が、11月の第1火曜日が選挙日となる本選挙を争います。前回(2016年)の大統領選挙では、共和党が指名したトランプ氏と民主党が指名したヒラリー・クリントン氏の間で争われました。前々回(2012年)の大統領選挙は、民主党は当時の現職大統領であるオバマ氏、共和党はロムニー氏でした。
 今回、民主党の大統領候補指名レースでは、前副大統領のジョー・バイデン氏、上院議員のエリザベス・ウォーレン氏、同じく上院議員のバーニー・サンダース氏、インディアナ州前サウスベンド市長のピート・ブティジェッジ氏、実業家のアンドリュー・ヤン氏などが名乗りを上げ、そこに前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏も参戦し、混沌のレースの様相ですました。バイデン氏、ウォーレン氏、ウォーレン氏、ブルームバーグ氏は70歳を超えており、ブティジェッジ氏とヤン氏はそれぞれ30代、40代と「若さ」が「売り」になります。一方、ブティジェッジ氏とヤン氏には国政の経験はありません。
 2月初旬にアイオワ州で行われる党員集会から、3月のスーパーチューズデー、そして7月(民主党)、8月(共和党)の党大会を経て、11月3日の大統領選挙へと、候補者にとっては長距離マラソンが始まります。その中で、「失言」や「スキャンダル」等で大統領として適格ではないと有権者に判断されれば、否が応でもレースから撤退せざるを得ません。つまり、「民主主義のリーダー」に育てていくプロセスでもあると言えます。
 オバマ氏もトランプ氏も選挙前は「本命」候補ではありませんでした。この1年で、どのようなリーダーが舞台に登場するのか、楽しみです。

(執筆:矢尾板俊平)