日々是総合政策No.138

新型コロナウイルスに対峙するデジタル社会

 本年4月7日、コロナ緊急経済対策が発表されました。108兆円にも上る大規模な対策ですが、感染拡大防止・医療体制の整備、雇用の維持および事業継続支援、強靭な経済の構築を主な目的として、給付と融資を行うものです。特に喫緊の対象にされているのが、資金繰りに苦悩する中小企業・小規模事業と家計です。   
 しかし、その実施には不安が募ります。まず、給付に関して、遅さだけでなく休業要請への補償問題が深刻さを増しています。給付は、憲法で規定された健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する水準で、スピーディーに実行される必要があります。また、融資は、政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工組合中央金庫)に加えて、新たに民間金融機関が担当することになりました。実質無利子、無担保、返済期間5年先延ばしを可とする優遇条件を付けていますが、予算制約の下で、企業が必要とするだけの資金を融資できるとは限りません。                           
 そこで、中央政府、地方自治体、金融機関、企業、NPO・NGOなどの市民団体それに市民自身の協業、共助がクローズアップされることになります。すでに、コミュニティ単位での医療関連協力が行われていますが、資金面においても、たとえば、地域の状況に詳しい地方銀行や信用金庫などの地域金融機関とデジタル社会を象徴するクラウドファンディング運営業者との協業に期待が掛かります。
 インターネットの活用は、中小企業・小規模事業、ベンチャービジネスなどの取引コストを低減、収益を高めます。他方、本来、金融機関が有する情報収集、審査、モニタリング機能が市場を開拓するとともに不正な情報から顧客を守ります。そして、クラウドファンディング市場だけでなく自らの市場を拡大することになります。すなわち、金融機関の情報生産とクラウドファンディングの早いスピードがあいまって、手続きに手間取る政府系金融機関の融資や地域経済活性化支援機構や中小企業基盤整備機構のような官民ファンドを補完することができるのではないでしょうか。

(執筆:岸真清)