研究プロジェクト「多文化共生社会の総合政策研究」第3回公開研究会「多文化共生と農業」(2月22日開催)延期のお知らせ

2020年2月21日

研究プロジェクト「多文化共生社会の総合政策研究」第3回公開研究会「多文化共生と農業」(2月22日開催)延期のお知らせ

2月22日の公開研究会は、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、報告者ともご相談のうえ延期いたします。今後の日程などは、改めてご案内いたします。

「多文化共生社会の総合政策研究」第1回公開研究会 報告

開催日:2019年12月14日(土)13:00~15:30

場所:中央大学多摩キャンパス11号館11410教室

研究会概要:共通テーマ「多文化共生に関する公共・地域の取り組み」の下、以下3名にご講演いただいた。その後行った全体討論では多くの質問が出され、活発な議論が行われた(各講演のタイトルをクリックすると、各資料が表示されます)。

講演者1:平嶋彰英氏(立教大学特任教授、元総務省自治行政局国際室長、総合政策フォーラム顧問)

 報告1:「日本の地域社会の多様化と多文化共生施策の展開について」

講演者2:稲原浩氏(総務省自治行政局国際室長・参事官(国際担当))

 報告2:「外国人材の受入れと地域における多文化共生の現状等」

講演者3:上坊勝則氏(自治体国際化協会 事務局長)

 報告3:「一般財団法人自治体国際化協会 多文化共生部の取組について」

「多文化共生社会の総合政策研究」第1回研究会報告

開催日:2019年11月9日(土)13:00~16:40(13:00~15:10 全体会 15:20~16:40 分科会活動)

場所:中央大学多摩キャンパス11号館

(全体会:11410号室 分科会:11508・11510号室)

参加人数:全体 12名(分科会1:8名,分科会2:4名)

活動内容:

 今回は初回の研究会であったため、プロジェクト・リーダーの横山代表理事と山内研究員の2人から、「多文化共生社会の総合政策研究」プロジェクト全体及び分科会1、2についての説明を行った。

プロジェクト全体の説明の中では、プロジェクト名にも含まれる「多文化共生」や「総合政策」といった概念の定義づけが行われた。具体的には、多文化共生の「文化」概念が、国家や民族に限定されず、世代や職業、趣味まで含む広い意味でとらえられていること、総合政策的視座として、複数の時点、社会、政策について、複数の学問の知見に基づき、複数の主体がどのように関与し、価値判断を行うのか、という点が重要であると考えられていること、などである。

分科会1、2の説明の中では、オストロムらの定義を踏まえた「ポリセントリック」の意味(分科会1)や、岡本智周の定義に基づいた「カテゴリ更新としての共生」という概念(分科会2)が提示された。

発表の内容は「定義」に若干偏ったようにも見えるが、おそらく重要なのは、これらの発表から「多文化共生」や「総合政策」の普遍的な意味を読みとることではない。発表の中で横山プロジェクト・リーダーは、「独立した決定主体が活動すると、他者との交渉・軋轢などが生じるが、そのプロセスをへて、新しい文化が誕生する場合がある」という重要な視点を提示したが、定義をめぐっての議論を否定するわけではないにせよ、唯一解の提示に過度に拘泥することは、結果的にそのような「新しい文化」の生成を妨げてしまうであろう。

 研究プロジェクト全体及び各分科会の説明に続いて行われたのは、研究会メンバー個々人の研究関心についての発表がなされた。先に本プロジェクトにおいては、文化の単位は国民や民族だけではないことに言及したが、個々人の関心においてもその対象は、「外国人」との関係にはとどまらず、金融やジェンダーも含む広いものであり、また「外国人との関係」に関心がある者であっても、その注目する点や背後にある経験、専門知識の多寡などが異なっていた。

 こういった経験や知識量の違いが、そのまま発言力の違いとなってしまうならば、「新しい文化」の生成は妨げられてしまうだろう。個々人の発表を受けて、参加者の一人ひとりが他者の来歴に真摯に向き合うことの重要性を共有できたかと思えた。こうした姿勢こそが、研究会や学界に限らず、広く社会において他者と共生するためには欠かせない姿勢である。その姿勢の重要性が認識されたことは研究会としては、この上ない船出であったといえよう。

(執筆: 山内勇人)

日々是総合政策No.104

孤立した母親への支援について考える

 現代日本社会において、子育て期の母親の孤立は、防ぐべきもの、あるいは解決すべきものとしてとらえられているようである。背景には、母親の孤立は、児童虐待や無理心中などにつながるおそれがあるという認識があるのだろう。
 家族社会学の分野においても、母親にとっての育児ネットワークの重要性に着目した研究の蓄積があり、それらもまた、母親の孤立を防ぐべきものと見なす議論の正当性を裏付けるものと言えよう。
 私は、母親の孤立は防ぐべきという議論に異論を唱えるつもりはない。しかし、今日では、育児ネットワークの重要性が論じられる一方で、それが母親に与えるストレスについて、盛んに語られているのもまた事実である。古くからある嫁姑問題に加えて、近年ではママ友関係がもたらすストレスや実母との確執についても様々なメディアでとりあげられている。育児ネットワークとは、母親にとって支えともなりうるが、ストレスにもなりうるという両義性のあるものなのである。
 既存の研究は、育児ネットワークが母親のストレスになりうるという点に関して、十分に意識的であったと言える。しかし、では実際に、ストレスに追い詰められて、あるいはストレス回避のために、孤立状態にある母親は、どのように考え、行動すれば育児が行き詰まらないのか、という視点はあまりなかったように思われるのである。
 マスメディア等で仕事を継続してきた、発信力のある女性たちでさえ、ママ友作りに躓いたことを打ち明ける現代社会である。母親の孤立を防ぐための議論は重要であるが、仮に孤立していると見なされる状態であっても、必ずしも不安に思う必要はないし、育児を楽しむこともできる、というメッセージもまた必要とされているのではないだろうか。孤立そのものを防ぐことも重要であるが、情報化社会の中で孤立した母親が自らを普通ではないと感じ、焦燥感に駆られ、自尊心を低下させることを防ぐのも重要である。母親たちに対する子育て支援に際しても、母親の孤立の防止とともに、孤立した母親の自尊心の低下を防ぐことについても、さらに理解が深まればと願っている。

(執筆:仁科薫)

12月14日開催 公開研究会 「多文化共生に関する公共・地域の取り組み」のお知らせ

総務省に「多文化共生の推進に関する研究会」が2005年6月に設置されてから、公共・地域の取り組みは14年以上が経過しました。2018年12月には外国人労働者受け入れのための新たな在留資格「特定技能」が創設され、あわせて「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が策定されるなど、日本における多文化共生をめぐる状況は大きな変化の中にあります。

本研究プロジェクトでは日本の多文化共生の現状や課題を考えるべく、下記の通り公開研究会を行います。皆様のご参加をお持ちいたします。

日 時:2019年12月14日(土) 13:00~15:30

場 所:中央大学多摩キャンパス 11号館4階 11410教室

プログラム

13:00~13:05 開会挨拶 

   横山彰(中央大学名誉教授、総合政策フォーラム代表理事)

13:05~13:40 報告1「日本の地域社会の多様化と多文化共生施策の展開について」

   平嶋彰英 (立教大学特任教授、元総務省自治行政局国際室長、 総合政策フォーラム顧問)

13:40~14:15 報告2「外国人材の受入れと地域における多文化共生の現状等」

   稲原浩(総務省自治行政局国際室長・参事官(国際担当))

14:15~14:50 報告3「一般財団法人自治体国際化協会 多文化共生部の取組について」

   上坊勝則(自治体国際化協会 事務局長)

14:50~15:00 休憩

15:00~15:30 質疑応答・全体討論

参加費:無料

参加申込こちらのフォームより、お申込みください(先着40名)

申込締切:2019年12月9日(月)PM 17:00

問い合わせ:上記申込フォームの自由記述欄にてお願いします。 *返信までお時間をいただく場合があります。予めご了承ください。

設立記念研究集会 開催のご報告

当フォーラムの設立記念研究集会を下記の通り開催いたしました。

日時:2019年8月31日(土) 13:30~(13:15 開場)
会場:中央大学 駿河台記念館6階610号室【アクセス

プログラム:
13:30-13:35 開会の辞

13:35-14:20 基調講演 「地域社会を支える総合政策」
        講演者:横山彰(代表理事・中央大学名誉教授)
        【資料

14:20-15:20 研究プロジェクト企画の概要発表・討論
「ケニア北部・エチオピア南部におけるインデックス型家畜保険の需要と貧困動学、需要増加のための経済実験」
 池上宗信(理事・法政大学教授)
「途上国における電力価格政策の集積分析」
 後藤大策(理事・広島大学准教授)
「米中日とアジア途上国・地域の経済関係」
 谷口洋志(理事・中央大学副学長)
「人口動態の変化と地方政府の持続可能性」
 中澤克佳(理事・東洋大学教授)
「民主主義デザインと公共選択:こども・若者の政治参画・社会参画」
 矢尾板俊平(理事・淑徳大学教授)
「多文化共生社会の総合政策研究」
 横山 彰(代表理事・中央大学名誉教授)
 山内 勇人(研究員・中央大学政策文化総合研究所客員研究員))
 分科会1「多文化共生の多中心的連携活動」
 分科会2「多文化共生の人文学的基礎」

15:30-16:45 パネル・ディスカッション
テーマ:「コンパクトシティと自治体連携」
コーディネーター:矢尾板 俊平(理事・淑徳大学教授)
パネリスト(五十音順)
 磯道 真 氏(日経グローカル編集長)
 後藤 大策氏(理事・広島大学准教授)
 田中 聖也氏(総務省自治行政局市町村課長)
 山田 正人氏(東京大学公共政策大学院客員教授、元横浜市副市長)

16:45-16:50 閉会の辞

※詳細は、PDFファイルをご覧ください。