日々是総合政策No.150

新型コロナウイルス感染症対策

 6月1日現在における日本政府の新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)対策の全容は、内閣官房のWebサイト(https://corona.go.jp/action/)で知ることができます。
 そして、さらなるコロナ対策として、政府は令和2年度第2次補正予算案を5月27日に閣議決定し、国会での成立を目指しています。その追加歳出は、コロナ対策関係経費31兆8,171億円、国債利払費等963億円、議員歳費▲20億円で、合計で31兆9,114億(概数で31.9兆円)になっています。コロナ対策関係経費の主要なものを概数でみると、中小・小規模事業者向け融資を中心とした「資金繰り対応の強化」11.6兆円、「家賃支援給付金の創設」2.0兆円、コロナ緊急包括支援交付金を中心とする「医療提供体制等の強化」3.0兆円、「コロナ対応地方創生臨時交付金の拡充」2.0兆円、「持続化給付金の対応強化」1.9兆円、「コロナ対策予備費」10.0兆円です(注1)。
 この第2次補正予算で意見が分かれるのは、「医療提供体制等の強化」と「コロナ対策予備費」の評価です。前者については、第2次補正予算の9.40%(概数での算定、以下同じ)に過ぎず、さらにはPCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)・抗原検査などの検査体制強化622億円、コロナに係る情報システム整備42億円、ワクチン・治療薬の開発と早期実用化等2,055億円と、「検査体制の充実、感染予防防止とワクチン・治療薬の開発」には合計でも2,719億円(第2次補正予算の0.85%)しか充てられていません(注2)。後者については、10兆円という規模の予備費(第2次補正予算の31.35%)は、「財政民主主義の観点から、使途を明確にする必要がある」といった意見が野党各党から出されています(注3)。この点は、議会(立法府)が政府(行政府)の行動を統制する手段としての役割を予算がもつこと、すなわち予算の統制機能に関わります。こうした予算の役割と、今後のコロナ情勢に応じて政府が柔軟な政策対策をとれることとのバランスが問題になります(注4)。
皆さんも、予算という窓を通して政府のコロナ対策を眺めてみてはいかがですか。

(注1)財務省「令和2年度補正予算(第2号)の概要」
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020527b.pdf
(注2)厚生労働省「令和2年度厚生労働省第二次補正予算案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/dl/20hosei03.pdf
(注3)NHK「第2次補正予算案 “10兆円の予備費 使途説明を” 野党各党」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200528/k10012449301000.html
(注4)この点については、次の考察も参考になります。大石夏樹(2009)「予備費制度の在り方に関する論点整理」『経済のプリズム』 第72号、13-25頁、参議院事務局企画調整室
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h21pdf/20097202.pdf
以上のURL、すべて最終アクセス 2020年6月1日。

(執筆:横山彰)

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