日々是総合政策No.156

スウェーデンのコロナ禍対策(4)

 今回はスウェーデンでのコロナ禍による死亡者について取り上げます。注1によれば7月1日時点で死亡者数は5333人であり、国際的にかなり高い値です。ちなみに人口10万人あたりの死者数は50.7人で、イギリスの64.7人、イタリアの57.4人より少ないですが,フランスの44.4人、アメリカの37.1人を上回ります(注2より)。
死亡者数の多さとともに、死亡者が大ストックフォルムに集中しているのが特徴です。大ストックフォルムとはストックフォルム県をさし、ストックフォルム市だけでなく周辺の都市圏を含み、日本でいえば東京都にあたります。その人口は2018年で約233万人です(注3より)。注1によれば大ストックフォルムでの死者数は2278人で全国の42.7%を占めます。
 No.153で紹介した注4の筆者は、大ストックフォルムが外国人の多い地域である点を危惧しています。死者に外国人が多く含まれている可能性があるからです。注5より算出すると、2019年に大ストックフォルムには、外国をバックグランドとする人-以下、外国人と記す-が約82万人います。この数はスウェーデンにいる全外国人の31.1%を占め、大ストックフォルムの人口233万人に対し35%を占めます。
 コロナ禍による死亡者を外国人とスウェーデン人とで区別したデータが見つかりませんので、代わりに以下の図を紹介します。

全死亡者のうち、外国生れの割合%
(出所)注6より。

 図の横軸は週単位で1月1日から6月21日までの期間を表します。縦軸は、死亡者(コロナ禍による死亡者だけでなくすべての死亡者)のうち外国生れの人の割合を示します。概ね下方に位置する折れ線は2015年から2019年の平均値で、上方に位置する折れ線が2020年の値です。とくに第12週、すなわち3月中旬から2020年の値が急上昇し、2019年までの値とのギャップが大きくなっています。一概に結論づけることはできませんが、コロナ禍の外国人への波及が予想されます。

(注)
1.スウェーデン公衆衛生庁URL
https://fohm.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/68d4537bf2714e63b646c37f152f1392
2.ブルームバーグURL
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-06-28/sweden-s-covid-expert-says-the-world-still-doesn-t-understand
3.外務省URL
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/sweden/data.html
4.IMF URL
https://www.imf.org/en/News/Articles/2020/06/01/na060120-sweden-will-covid-19-economics-be-different?utm_medium=email&utm_source=govdelivery
5.スウェーデン中央統計局 URL
https://www.statistikdatabasen.scb.se/pxweb/sv/ssd/START__BE__BE0101__BE0101Q/UtlSvBakgGrov/
6.スウェーデン中央統計局 URL
https://www.scb.se/om-scb/nyheter-och-pressmeddelanden/folj-preliminar-statistik-om-dodsfall/

最終アクセスすべて 2020年7月1日。

(執筆:馬場義久)

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