自然災害とその復興課題について(1)
日本は自然災害の多い国です。「令和2年7月豪雨」では全国でも熊本県の浸水被害を中心に、人的被害101名だけでなく、14,836棟の住家被害が発生しました(注1)。政府は新型コロナ対策の経済的支援以外にも、「特定非常災害指定」のための財源捻出が必要となっています。
災害対策基本法第2条第1項では災害の定義を「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発、その他その及ぼす被害の程度において、これらに類する政令で定める原因により生ずる被害という」としています。災害対策基本法に認められる災害の定義が多岐に渡っており、災害復興補助金の適用範囲も広いと考えられます。
政府は防災部門にも配慮して災害復旧に努めています。令和2年度災害予防予算案は1,124百万円であり、南海トラフ地震や首都直下型地震に備えた政策を講じるため、平成31年度以降の防災予算は高止まり傾向です(注2)。日本の災害対策は充分と言えるものの、今後は更なる補正予算を組むことも検討するようになるでしょう。
実際の被災後は災害復興への応急対応のため、早急に被災状況の把握が必要となります。具体的には、①応急対応、②二次災害の拡大防止、③法制度の適用、④すまいと暮らしの再建等に関する調査を行います。行政と判定技術者を中心に、立ち入り禁止区域の認定や応急危険度の第1次、2次判定が実施されるのです。被害区分の査定が行われると、緊急の財政金融措置となる①緊急金融措置、②財政需要見込額の算定、③行政計画、④予算編成等も含めて、様々な施策を考えなければなりません(注3)。このように被災後は救済や復興計画の作成を中心に、膨大な作業に多くの人員を配置することとなります。日本はコロナ対策だけでなく、災害対策やその復興にも効率的な財源や人員を投入しなければなりません。早急な政府対応が求められるでしょう。
(執筆:田代昌孝)
(注1)内閣府「令和2年7月豪雨による被害状況等について」、下記のURL(最終アクセス2020年7月15日)を参照。
http://www.bousai.go.jp/updates/r2_07ooame/pdf/r20703_ooame_17.pdf
(注2)内閣府「防災情報のページ」、下記のURL(最終アクセス2020年7月15日)を参照。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/yosan/index.html
(注3)内閣府「復旧・復興ハンドブック」、下記のURL(最終アクセス2020年8月6日)を参照。
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/output_html_1/images/dept/cao_fukkou/handbook.pdf