人口減少のインパクト(4):地域別の人口減少(3)
前回のコラムでは、引き続き地域別の人口減少について述べていきました。人口減少は特に地方部において激しく、同時に高齢化の進展が激しくなっていきます。2045年段階での高齢化率が最も大きい都道府県は秋田県で50.1%になります。つまり、県民の約半分が高齢者となるのが30年後の秋田県ということになります。
高齢化の進展が激しいのは秋田県にとどまりません。2045年の高齢化率(全国)の予測は36.8%と非常に高いのですが、地域別に見ると上で述べた秋田県の50.1%を筆頭に、青森県(46.8%)、福島県(44.2%)、岩手県(43.2%)と東北の県が続いていきます。東北の県で一番高齢化率が低いのは宮城県ですが、それでも40.3%と全国平均より高い数値となっており、40%を超えています。
高齢者が増加していくことは、社会保障費用の増加や社会インフラの維持、地方財政の持続可能性など多岐にわたる影響を与えます。しかしながら、現在の(そして2045年の)高齢者は、本当に「高齢者」でしょうか。1977年生まれの筆者の子ども時代は、高齢者は「おじいさん」、「おばあさん」といった印象の方が多かったように感じます。しかし現在は、65歳を過ぎても元気で若々しい方が多いと感じます。長寿命化と健康寿命の延伸を受けて、高齢者を単純に捉えきることはできなくなりつつあります。内閣府(2019)『令和元年版高齢社会白書』によれば、日常生活に制限のない期間である健康寿命は、2016年時点で男性72.14歳,女性74.79年となっています。また、要介護認定を受けている人々の割合は、65歳から74歳の前期高齢者で2.9%、75歳以上の後期高齢者で23.3%と大きく異なっています。
75歳以上の後期高齢者比率は、2045年の全国平均値が31.9%と予測されています。後期高齢者率は高齢化率と概ね連動しますので、後期高齢者率が高いのも東北各県になります。最も高いのは秋田県の31.9%、続いて青森県(29.1%)、福島県(27.4%)と続きます。実に11県が後期高齢者率25%、つまり人口の4分の1が後期高齢者という社会を迎えます。
(執筆:中澤克佳)