日々是総合政策No.66

民主主義のソーシャルデザイン:どのように決めるのか?

 いま、目の前には9つの椅子が置いてあります。そして、その椅子の前には自分も含めて10人の人が立っています。みんなが椅子に座りたいと思っていますが、1人1脚ずつ座るとすれば、椅子に座れる人は9人ということになります。つまり、10人のうち、1人は座れないことになります。
 このとき、椅子に座れない1人をどのように決めれば良いでしょうか。ここで忘れてはいけないのは、自分が椅子に座れない1人になるかもしれない、ということです。そこで考えるのは、自分が最も「座れなくなる」可能性が高くなる「決め方」を避けたいということでしょう。
 何かを「決める」ためには、まず「決め方」を決める必要があります。それでは、その「決め方」を決めるためには、どうすれば良いでしょうか。「決め方」そのものが決まっていないので、みんなが合意できる(全員一致できる)決め方は何か、ということを考えることになります。「決め方」が決まらなければ、ずっと椅子に座ることはできませんし、早く「決め方」を決めようとするので、少なくとも、自分が一人だけ損をしない「決め方」にはならないようにしようとするのではないでしょうか。
 「じゃんけん」という方法は、公平な決め方でありそうで、運に左右されることもあり、誰もが「座れなくなる」可能性が意外と高いかもしれません。「お金」はどうでしょう。元々、お金をたくさん持っている人は、ぜひ「椅子に支払える金額の高い順で決めよう」と言うかもしれませんが、確実に「座れない」と思った人は反対するでしょう。カリスマ的なリーダーに全てを決めてもらうことは、意外と自分が「座れなくなる」可能性が低いかもしれません。
 「投票」という方法はどうでしょうか。この方法に合意できたとして、次に、もうひとつ決めなければいけないことがあります。それは、単純に票の数が多い人から「座れる」ようにするのか、「座れない人」を決める「投票」を行って、過半数を得た人が「座れなくなる」のか、3分の2や4分の3以上の票を必要とするのか、はたまた3分の1や4分の1の票が集まった人が座れなくなるのか、こうしたルールも決める必要があります。
 民主主義のソーシャルデザインでは、このような「決め方」の仕組みそれ自体を考えていくことも重要なテーマとなります。

(執筆:矢尾板俊平)

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