日々是総合政策No.101

ふるさと納税について思っていること

 平成26年度以降、ふるさと納税受入額は急増し、平成30年度には約5,127億円となりました。一方、過熱する返礼品問題も大きな問題として取り上げられています。
そのきっかけとなったのは、平成27年度税制改正における「ふるさと納税制度の特例控除額の倍増」と「ワンストップ特例」の導入と言われます。当時、筆者は総務省の自治税務局長、つまり、この制度の事務方の責任者でした。そうした立場から、ふるさと納税制度をめぐる様々なことについて、この場をお借りして、現時点でのコメントを申し上げたいと思います。それは、一言で言えば、「内心忸怩たる思い」という言葉に尽きます。
 ふるさと納税は、当時から高額納税者にはお得な(比較的富裕な方には利用しなければ損な)節税策としての認識が広がっていました。そうしたことも背景にしながら、地方自治体間の返礼品競争が過熱となることの萌芽が既に現れ始めていました。
当時の同僚や優秀な部下諸君とも、いろいろなことを調べ、何度も何度も議論を行い、その後に起こる過熱な返礼品競争もある程度予見し、懸念していました。しかし、事務方の責任者である私の自らの力不足により、関係者の十分な理解を得ることができず、結果として、皆が納得できるような有効な対応策を講じることができませんでした。
 ふるさと納税をめぐる返礼品問題の混乱は、それにより招いた事態であるという面があることは否定できない、という認識でおります。
 自治体関係者で大変な苦労をされた方や税務現場の職員等で不愉快な思いを感じられた方がおられるだろうと思います。
 ふるさと納税について、様々なことを耳にするたびに、この混乱がある程度予見できたにも関わらず十分な対応策を講じられなかったことについて、当時の事務方の責任者としての責任を感じており、忸怩たる思いをしております。
 現状については、現在の担当者がいろいろと苦労しているところと思います。当時、この問題の事務方の責任者の立場にありながら有効な対策を講じられなかった者にどの程度コメントをする資格があるのか、という思いもありますので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。

(執筆:平嶋彰英)

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