日々是総合政策 No.29

スポーツと地方創生~平成の日本サッカーの変化を振り返る(上)

 ラグビーW杯ワールドカップ2019日本大会や2020年の東京オリパラ大会を前に、W杯の開催とJリーグの創設をみた、平成の日本サッカーを振り返りたい。サッカーに関し、2002年の日韓共催W杯と地域密着のJリーグの創設が絶大な影響を及ぼし、日本サッカーの競技力が顕著に向上したことには異論もないだろう。こうした世界規模のスポーツ大会開催には、運営や施設整備に公共的主体が相当に関わるが、その意義は十分検証されるべきだ。
 メキシコ五輪での日本の銅メダル獲得後に、部活動でサッカーに親しんだ筆者が初めて見たW杯は多くのサッカーファンと同様、1974年西ドイツW杯の決勝のTV中継だ。皇帝ベッケンバウアーの西ドイツと、スーパースターであったヨハン・クライフを擁するオランダの決勝に酔いしれた。以来、私にとってW杯やヨーロッパサッカーの環境はずっと憧れだった。一生のうちに一度でいいから、日本がW杯の舞台で世界の強豪と戦うところは見てみたい、というのがその頃からのなかなか果たせぬ夢だった。
 今の若い方には想像がつかないかもしれないが、1970年代以降日本はアジアの壁に阻まれ、W杯出場どころかオリンピックもなかなか出場できなかった。それが平成のJリーグの創設後、「ジョホールバルの歓喜」を経てフランス大会に初出場、日本で開催された日韓共催W杯では、決勝トーナメントに進んだ。その後日本はロシア大会まで6大会連続W杯出場を果たし、そのうち日韓共催を含め3大会で予選ラウンドを突破し、ベスト16に進出した。アジアでは、アジアカップで三度の優勝と一度の準優勝、アジアのクラブチームナンバーワンを決めるACLでも3チームが計4度頂点を極めた。さらに2011年には、なでしこジャパンが女子W杯で優勝、東日本大震災に沈む我が国に元気をもたらしたことも記憶に新しい。
 この日本サッカーの水準の躍進には、Jリーグの創設と拡充が大きく寄与したことは間違いない。また、このJリーグの広がりは日本の地域社会にも大きな影響を与え、地方創生にも寄与している。Jリーグの地域密着へのこだわりが、地域の人々の「地域」への思いに訴えるものがあったということなのではないだろうか。この点に地方創生の原点を見る思いがしている。
 Jリーグの現状と平成の動きは、(下)で紹介する。

(執筆:平嶋彰英)

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