日々是総合政策No.102

うそと真実

 あなたは「うそ」をついたことがありますか?
 小さい頃、外から帰って手を洗ってからおやつを食べるように言われて、洗ってないのに「洗ったよ。」と言ったことはないでしょうか?宿題をしていないのに、終わったことにして遊びに行ったことはないでしょうか?大体の人は何かしら「うそ」をついたことがあるのではないかと思います。
 では、なぜ人は「うそ」をつくのでしょうか?小さい頃の自分を守るうそとは違い、大人になるにつれ、うそに対する意識は変わってくるようです。学生に聞いたところ、うそをついてはいけないという意識はあるものの、「他人を傷つけない」ためにつくうそは、あったほうが良いと思っている人がほとんどでした。
 では、企業についてはどうでしょう?企業は、利害関係者を傷つけたくないという理由で、うそをつくことは認められるでしょうか?
 証券取引所に上場している法人は、企業の決算書である有価証券報告書に「うそ」の記載をすると、金融商品取引法上の有価証券報告書虚偽記載罪で、7億円以下の罰金が課されます。上場していてもいなくても、「うそ」をついた株式会社の取締役等は、会社法の特別背任罪に問われます。
 企業会計原則一般原則の最初に「真実性の原則」があります。「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。」と書かれています。この企業会計原則とは、「必ずしも法令によって強制されないでも、すべての企業がその会計を処理するに当って従わなければならない基準」であるとその前文に謳われているのですが、企業のうそ、すなわち粉飾決算(window dressing)は枚挙に暇がありません。粉飾決算については、次回また考えてみたいと思います。

(執筆 渡部美紀子)