日々是総合政策No.146

スウェーデンのコロナ禍対策(2)

 今回は大学生への支援策について紹介します。スウェーデンは今のところ、すべての学校で休校措置をとっていません。ただ大学は遠隔教育で対応しています。

1.大学等教育費の分担
 下の表は、大学や大学院などの教育費を100として、公共部門と家計がどれだけの割合で支出しているかを示します。スウェーデンは政府が84.7%支出し、家計の支出、つまり、学生やその保護者による支出は0.8%です。この0.8%はOECD35カ国中34位という低い値です。日本のそれは3位です。

表 大学等の教育費の分担割合% 2015年

 *公共や家計の他にNPOや寄付組織等の支出がある。
 **家計順位はOECD35カ国中の順位。
(出所)注1より抽出。

2.大学生支援策:奨学金のシーリング中止 
 以下、1スウェーデンクローナ=11円(注2より)として円単位で述べます。
 同国では、大学生や保護者の所得水準に関わりなく学費が無料です。国民の税負担により大学教育を支えています。いかなる時も学費未納による退学は生じません。危機に強いシステムです。
 では奨学金政策はどうでしょうか?全日制の大学生の場合、授業1週間あたり給付型奨学金が9058円、返済型が20812円、計29870円給付されます。
 奨学金制度には学生の所得シーリングがあります。保護者の所得は無関係です。半年間の所得が193万円を超えると奨学金は全く給付されません。このシーリングは、奨学金を得る週数-1週から半年で最大の20週-ごとに設定され、週数が多くなるほど低くなります。たとえば10週分だと162万円で、20週分では99万円です。つまり、学生の所得が99万円から162万円に増加すると、奨学金は20週分から10週分に半減します(以上の数値は注3より)。
 今回の支援策はこのシーリングを2020年に限り中止するものです。アルバイトをふやしても奨学金を減額しない措置です。背景に医療等での人手不足があるかもしれません。また、注3によれば今年失業し初めて大学で学ぼうとする人も、従前の所得水準にかかわらず奨学金を得られます。労働能力向上の後押しでしょう。政府はこの支援策を3月20日に発表しました(注4より)。その支出額は110億円です(注5より)。 

1.OECD URL
https://data.oecd.org/eduresource/spending-on-tertiary-education.htm
2.オンライン通貨コンバータURL
https://ja.valutafx.com/SEK-JPY.htm
3.スウェーデン中央奨学金機構URL
https://www.csn.se/bidrag-och-lan/studiestod/studiemedel.html#h-Hurmycketpengarkanjagfaochlana
4.スウェーデン政府URL
https://www.government.se/articles/2020/03/the-governments-work-in-the-area-of-education-in-response-to-the-coronavirus/
5.スウェーデン政府URL
https://www.government.se/information-material/2020/04/from-the-spring-fiscal-policy-bill-2020-guidelines-for-economic-and-budget-policy/

以上、すべて最終アクセス 2020年5月10日。

(執筆:馬場 義久)

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