日々是総合政策No.222

対面授業とオンライン授業

 今年の4月から、筆者の勤務する大学では、体育実技・語学・少人数クラスを中心に対面授業が導入された。その後、4月25日から緊急事態宣言が東京都に発令されたことから、対面授業の縮小が要請されることとなった。当方は、大規模クラスではオンライン方式による授業を実施する一方、20人未満の少人数クラスは、対面方式をとりつつも、希望によりオンライン参加を認めるハイブリッド方式による授業を行っている。
 少人数クラスでは当初対面参加者が多数を占めたものの、緊急事態宣言発令後は対面参加者が激減し、ほとんどがオンライン参加となった。対面方式を続けたのは、パソコンやインターネットを利用した授業を予定していたため、これらの機器や通信環境が十分でない人には、大学にある通信環境でパソコンを使ってもらう必要があったためである。
 対面方式の導入とは、実際には対面方式とオンライン方式の併用、つまりハイブリッド方式の採用である。ハイブリッド方式は、各自にとって最適な環境のもとで参加するという意味では理想的な方式といえるが、授業をする側からすると、2つの異なる部屋にいる受講者に向かって同時に授業するようなもので、毎回何らかの混乱に直面し、スムーズに進行させることが非常に難しい非効率な方式のように思われる。
 オンライン参加者にとってはパソコン画面上に映し出される情報がすべてであり、授業をする側は常にそのことを念頭において進める必要がある。一方、対面参加者の場合、パソコン画面を通じてしか情報が入手できないとすれば、大学にわざわざ来て参加するメリットがない。また、オンライン参加者に向かって発言すると、対面参加者には自分たちに向けた発言ではないという雰囲気を醸し出す。一方、対面参加者を見ながら授業を進めると、オンライン参加者には何か阻害されているような感じを与えてしまう。
 このように、一見理想的に見えるハイブリッド方式は、実際には対面方式や完全オンライン方式と比べて一番劣った授業方式であるというのが当方の現時点での結論である。こうした状況を改善するには、徐々に慣れていくか、誰かのサポートを求めるか、のいずれかしかないのだろうか。

(執筆:谷口洋志)

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