日々是総合政策No.246

対日本のデジタル化(1)

 今年9月にデジタル庁が発足し、日本でもようやくデジタル化が加速することが期待されている。しかし、現状のままでのデジタル化には多数の限界や重要な課題がある。
 そもそも、デジタル化が期待されるのは、コロナ禍でのデジタル対応の混乱と失敗がある。例えば、コロナ禍で経済活動が停止・短縮されたことによる収入激減に対し、一律の10万円給付を決めたものの、オンラインでの申請等ができずに、結局は郵送に頼らざるを得なかった。オンライン方式よりも、手書きでの郵送のほうが迅速に処理できたというのは、残念というより恥ずべきことだ。
 なぜなら、2001年に発表されたe-Japan戦略では「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す」としていたし、2013年の世界最先端 IT 国家創造宣言では「世界最高水準のIT利活用社会の実現」を目指すとしていたからである。しかし、2021年の情報通信白書では「デジタルインフラ整備などの一部については世界的に見ても進んでいるものの、全体としては大幅に後れている」と書かれている。
 実際、スイスの経営大学院IMDの世界競争力センターが毎年発表するデジタル競争力ランキング(IMD World Competitiveness Center, World Digital Competitiveness Ranking, https://www.imd.org/centers/world-competitiveness-center/rankings/world-digital-competitiveness/)によると、世界64の国・地域での日本の順位は、2018年の22位から2019年の23位、2020年の27位、2021年の28位へと下がり続けている。
 ちなみに、2021年のトップ5は、米国、香港、スウェーデン、デンマーク、シンガポールである。また、台湾8位、韓国12位、中国15位、ドイツ18位で、日本はマレーシアの27位に次ぐ第28位である。この順位を見ると、日本のデジタル化はかなり遅れており、世界最先端どころかデジタル中進国ないしデジタル途上国としか言いようがない。日本にはいったい何が欠けているのだろうか。それをしばらく考えてみたい。

(執筆:谷口洋志)

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