日々是総合政策 No.15

多文化共生を考えよう(下)

 今になれば、多様な文化があることは、アメリカのシリコンバレー等の経済の強さの要因とも感じる。筆者が住んでいた市では、市民が出身の祖国の食べ物や物品を持ち寄って楽しむ「多文化共生祭」のようなものがあった。そこのサブテーマは、「Celebrating Diversity(多様性を祝おう)」だったのだ。異文化との交流を尊ぶ西海岸の暮らしを経験したことは、その後、私の様々なことに大きな影響を与えた。
 そうした意味で、これから公共政策に携わろうとする人に、申し上げたいことが二点ある。第一には、留学、外国生活の勧めだ。異文化との交流は、必ずや、かけがえのない貴重な経験となる。異文化との交流は、新たな発見の機会だと言うことだ。第二には、外国人の増加に伴う多文化共生施策は、地域のためになる、チャンスと考えて取り組んでほしいと言うことだ。
 今後、外国人の中でも日本が求める高度な人材は、海外とも比較し、住みやすい地域を選択する。企業も外国人が住みやすいところに立地する。留学生も学びやすいところを選択する。外国人観光客もだ。そうなれば多文化共生は、地方創生の「鍵」になるに違いない。このことを考えて、公共政策を考えてもらいたいのだ。
 地域社会での外国人受け入れに関しては、治安等の心配を感じる向きもあるだろう。しかし、女性の活躍でよく言われることであるが、女性にとって、働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい。同じ様に、差別がなく「外国人や、外国にルーツを持つ日本人」が暮らしやすい地域は、普通の日本人にも暮らしやすい地域にほかならない。そういう意味で、多文化共生は、地域づくりを見つめ直すチャンスでもある。「多文化共生社会では、外国人住民は支援を受ける存在ではなく、共に地域を創っていく担い手となる。外国人住民や外国人コミュニティの活動が、地域の活力の源泉となり、特色のある豊かな地域を形作っていく。」(自治体国際化フォーラム31号)ことになるのだ。

(執筆:平嶋彰英)

多文化共生を考えよう(上)