日々是総合政策No.190

スウェーデンのコロナ禍対策(7)

 今回は、スウェーデンにおける新型コロナ感染者数の急増を確認し、政府の対策について紹介します。
 表は7月以降の累積感染者数を示します(注1)。7月から11月はその月初め(一日)時点での数です。11月1日から現在(11月19日)までの急増が目立ちます。11月1日での133327人から19日には208295人になり、感染者が74968人増加しました。19日間の平均で見て一日あたり3945人の増加です。ちなみに、日本の11月22日での新規感染者は2168人でした(注2)。なお、スウェーデンでの死亡者数は11月1日の6023名(累積)から19日の6394名と371名増加しました(注1より算出)。

表 累積感染者数の動向(人)
*各月の月初めでの累積感染者数を示す。現在は11月19日。
(出所)注1に基づき筆者作成。

 スウェーデン政府は最近、二つの新たな対策を発表しました。
 第一は、バーやレストラン、ナイトクラブなどでのアルコール販売を22時から翌日の11時まで禁止する措置です(注3)。スウェーデン全土でこの種の店が約15700あり、その多くが夜にオープンし、翌朝5時ぐらいまで営業するとのことです。この措置は11月11日に発表され、11月20日から2021年2月1日まで実施の予定です。実施期間の長さが注目されます。なお、注3には、禁止措置による当該店の損失を補償する措置は示されていません。ただこの点は、他の文書で発表されている可能性があります。
 第二は、「集会」参加の人数上限を50人から8人にするものです(注4)。ここでの集会とは、コンサート・展覧会・サークルの会合・スポーツ観戦等を指します。ただこれまでと同様、着席して見るイベント(スポーツなど)については、観客同士が1メートル以上離れていれば300人まで可能です。しかし、これまで認めていた、レストランを使用しての集会の例外扱い-感染予防対策の実施を条件にしての例外-は廃止されました。
 この措置は11月16日に発表され11月24日より実施されます。実施期間は「当面4週間を最長としたい」とのことです。きわめて短期間であるのは、社会的コンタクトの制限策は必要最小限にしたいこと、さらに、短期化により、憲法における集会の自由、発表の自由の保障に合致するからと述べています。
 なお、高齢者への訪問を禁ずる措置など検討中の対策もあり、今後の動向が注目されます。

(注)
1.スウェーデン公衆衛生庁 URL
 FOHM Covid-19 (desktop) (arcgis.com)
2.NHK URL
新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイト
3.スウェーデン政府 URL
https://www.regeringen.se/4abc0c/contentassets/7cf53b1760ce422a987f59eb9cb77bd0/forslag-till-forordning-om-tillfalligt-forbud-mot-servering-av-alkohol.pdf
4.スウェーデン政府 URL
https://www.regeringen.se/4ac71c/contentassets/0bd9b64752314859b1847328f7eb9b4a/forbud-mot-att-halla-allmanna-sammankomster-och-offentliga-tillstallningar-med-fler-an-atta-deltagare.pdf

URLの最終アクセスいずれも 2020年11月24日。

(執筆:馬場 義久)

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