日本の税を考える-消費税再考(3)全世代型課税
今回は、消費税の長所の一つである全世代型課税を取り上げます。消費税が現役世代だけでなく退職後の高齢世代にも課税する点です。
表 年齢階層別消費税負担 2024年(人、円/月)

(注記)注より。消費税は注に基づき筆者算出。
表は世帯主(総世帯)の年齢別に、各世帯の消費税負担額(月当り)を算出したものです。消費支出を課税消費と非課税消費に分け、また、課税消費は10%分と8%分を区別しました。
世帯主の年齢のうち、29歳以下から70歳以上の6つの年齢階層に注目します。60~69歳、および70歳以上の世帯員数は2.11人と1.78人で、多い方から数えて4番目と5番目です。消費支出の順序は、それぞれ、3番目と5番目で、消費税負担では、2番目と5番目です。
次に、表の年齢階層における右端に記した、59歳以下全体(世帯主の年齢が29歳以下から59歳までの世帯全体)と60歳以上全体・65歳以上全体とを比較します。消費税負担額は、それぞれ、1万8632円・1万6863円・1万6232円です。6つの年齢区分による消費税負担額に比べて、この3区分の方が均一な分布です。それは、3区分の方が年齢階層を広く取っているからでしょう。
65歳以上全体の消費税負担は、59歳以下全体の87%(16232÷18632)を占めます。対現役比において、世帯員数の少ない高齢者世帯もかなりの消費税を負担しているわけです。
消費税は基幹税として財政を支えるだけではありません。退職世代の金融資産保有者にも課税できます。金融資産の利子・配当やキャピタル・ゲインによる消費、資産の取り崩しによる消費にも課税できるからです。しかも、二人以上の高齢者世帯の平均貯蓄残高は2462万円で、二人以上の全世帯(高齢者世帯を含む)の平均貯蓄残高1904万円を上回っています(本コラムNo.321を参照)。
他方で、高齢者が加入している後期高齢者保険制度等へ、現役世代の健康保険から支援金等の「仕送り」が為されています(本コラムNo.320を参照)。高齢世帯の消費税負担は、この「仕送り」による利益を減らします。消費税が過剰な世代間移転を緩和するわけです。負担者の殆どが現役層となる勤労所得税ではこの緩和は不可能です。
注
総務省 https://www.stat.go.jp/data/kakei/2024np/index.html の総世帯をクリックして下さい。
最終アクセス 2026年7月18日。
(執筆 馬場 義久)
